MTGのやり方を工夫して難題をやっつける

July 8, 2020

経営合宿やプロダクト合宿で取り扱うような議題難題、ちょっとやそっとでは解消できない中長期的な技術課題など、すぐに解決策を出すことが難しいテーマについての取り組み方に関する小ネタです。

こういった難題に対し合宿などを開催するならば、チーム一眼となって粘り強く取り組みなんとかして「答え、解法、方針、合意」などのなんらかの成果を持ち帰りたいものです。しかし、開発合宿・経営合宿みたいな形式には少々問題があるように思っています。

具体的には

  • 物理的空間に全員が一定時間揃うコストが高く付きやすい
  • 丸1日〜数日ずーっと集中し続ける必要がある
  • 完全に煮詰まった企画会議みたいにならないような高度なファシリが求められるっちゃったり

といった不安要素がつきまといます、これに対処するのも結構骨が折れるはずです。

こういった不安要素を払拭すべく試行錯誤する日々だったのですが、最近、私のチームでやっているやり方がわりとうまく回って体験も良かったので、今回一例としてそのやり方を紹介します。

tl;dr

なんらかの難しい課題について、毎日60〜120分時間をとり、全員が納得いくまで議論を重ねる

このやり方を仮にロングMTGとします。(ロングスパンなMTGの意)

以下 要点、運用、やってみた感想 を書きます。

要点

期限を設けない

タイムリミットや制約はあまり考えず、「納得行くまで議論をやりきる・言いたいことを出し切る」ことに重点を置きます。 タイムリミットを設けないことで「本来どうあるべきか」という理想状態を思い描きやすくなったり、中長期的に物事を考えやすくなります。

丁寧なファシリテートを行う

全員がしっかり発言できているかに注意します。 偏りなく様々な切り口の意見が出ているか、チーム全体が見落としてしまっている箇所がないかに注意します。もしくはそのこと自体を直接メンバーに問いかけてもいいです。

チームの心理的安全性に気を配る

実施するにあたっては、心理的安全性が確保されているのが理想です。 上下関係を無くして言いたいことがあればすぐに言うようにすべきで、また、間違いを恐れずむしろ見落としがあることを恐れるようにすべきだからです。 ただ、うまくファシリテートできれば、現時点では心理的安全性が低くともロングMTGを行うことで結果的に心理的安全性が高まる可能性はあります。

運用

議事録

毎回必ず議事録をとります。 誰がどんな発言をしたかまで記録できているのが望ましいです。言った言わないの水掛け論を回避するためでもありますが、「あのときどんな議論だったか」を後から想起する際にも役立ちます。 議論のたたき台やアウトラインを予め作っておくと、スムーズに議論に入りやすいです。 または、議事録スキルが求められますが、議論をしていく中で徐々にアウトラインを浮き彫りにしていくというのでもいいです。

スケジューリング

1回あたり60〜120分のMTGを、特別な理由がない限りできれば毎日行います。 日常業務や短期的な課題に対処しながら、毎日中長期的な議論もする・中長期的な目標を見失わないという状態をチームに作り出すためです。 毎日行うというのがミソです。しんどいですが、間を空けすぎると忘れてしまいますし、一回あたりのMTGが長すぎると息切れしたり喉が痛くなったり手元の業務の時間がほとんど取れなかったりもします。なのでできるだけ短いスパンで開催するのがいいです。 毎日が難しい場合も、なるべく間を空けずに2~3日間隔、長くとも1週間以上は空けないようにします。

開催回数

開催回数に上限は設けません、全員が納得行くまで話し合います。もうこれ以上疑問点や不明点はないと全員が宣言できる状態にまで持っていきます。かなり大変ですが、ここまで行けたならチームの課題はほぼ可視化されていると思います。

進め方

初回は、まず最初に前提条件、前提合意条件のおさらいをします。ここがずれているとその後もずっとずれるため。前提条件の確定だけで時間が取られるかもしれませんが…。 2回目以降は、まずMTGの最初に前回ディスカッションしたことのおさらいをします。一晩寝て記憶が整理されるでしょうから、より深い見解や前回答えが出なかった問題に答えが出たりすると思います。開発合宿、経営合宿などぶっ通しでやる場合は脳が飽きてしまい息切れすることがあるかと思いますが、この「一晩寝かせる」のがこのやり方の一番の優位性です。

やってみて感想とか

議論の過程で理解が深まったことで、チーム間の認識のズレを調整することができました。 また、直近今すぐやるべきタスクと中長期的な目標との関連性・依存関係がクリアになったりしました。

実施コストですが、特定の重いテーマひとつを議論し尽くすまでにだいたい10~30回程度開催しました。工数としては 人数x時間x回数 がかかっていることになります。全員参加が原則なのでやはりやや高く付きます。

今のところ4半期ごとに実施していますが、回を重ねるごとにシステムやチームメンバーへの理解が深まるので議論のテーマがだんだん厳選され情報の非対称性が少なくなり、日々の業務に得たナレッジが有効に作用したり、日頃から率直に意見を言いやすくなったりと、総じて「働きやすくなった・満足度が高まった」という副次的なメリットも得られました。

以上、どこかの誰かの参考になれば幸いです。



Recent blog posts



(c) Copyright 2023 Kotaro Yoshimatsu